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美少女アレルギー

2010.11.13 23:39|短編小説
内容:学園コメディ ※『アレルギー』と『蝶』をお題に書きました。


「つ、付き合って下さいっ!」
「断る」

 頭を下げ、声を振り絞り、顔を羞恥の色で染め上げながらの必死の告白。
 僕はその告白を、にべもなく断った。事の成り行きはこうだ。



 ホームルームも終わり、帰る生徒達の喧騒にて賑わう教室で、僕はクラスメイトの女子である平乃に声を掛けられた。
 平乃は真面目で気立てが良く、その可愛さでクラスの中では異彩を放っている。
 そんな平乃に話しかけられて、僕は酷く戸惑った。
 なにせ、帰ったらすぐさま美少女達の蔓延る恋愛ゲームをプレイしようとしていたような、オタクで度胸もなく小心者なのが僕なのだ。
 二次元の女の子を愛していると普段から公言している僕には、リアルの女の子と接することはレベルが高すぎた。
 現に、平乃に「話があるから校舎裏まで……」と言われた時はかなりきょどってしまった。

 だが、そんな僕だから分かった。普段は凛々しくしている平乃が妙にいじらしい態度を見せている。
 それすなわち、告白の流れだということに。

 しかし、僕には画面の中で僕を待つたくさんの少女達が居る。
 彼女の告白を受けるわけにはいかないし、そもそも三次元の女の子の相手をするなんて無理だ。
 だから、きっぱりと断ろうと決心した。いつもの冷静な自分を呼び起こし、非情な態度で持って言ってやった。

「断る」



「……それはあまりに即決すぎやしませんか?」

 直前まで酷く緊張していたようだが、今はそんな様子もなく、むしろ落ち込んだ様子すら見せずに平乃は聞いてきた。

(ふむ、ここは念には念を入れておかないとな……)

「理由は単純さ。僕は美少女アレルギーなんだ」
「は、はぁ……」

 平乃は怪訝な反応を返す。
 僕は、何も間違ったことは言っていないというように、威風堂々とした様で言ってやった。

「君みたいな、まるで蝶のように可憐で優雅で美しい女性とは、とてもじゃないけどお付き合いなんて出来ないよ」
「え、えーと……」
「くっ、またそんな可愛らしい困り顔を……。君みたいに自覚なしにその魅力を振りまくような女の子に、僕が日々どれだけ怯えながら暮らしていると思ってるんだ! 君が歩くだけで僕は精神的ダメージを負っているんだ。さながら蝶が鱗粉を撒き散らしながら飛んでいるようにねっ! 君はそれを自覚する必要がある!」

 現に僕はこうやって喋っている間も、平乃の余りの可愛さによって大量の冷や汗をかきながら、頑張って虚勢を張っているのだ。
 自分で自分を褒めてあげたい。
 平乃は、そんな一気に言葉を捲し立てる僕の勢いに、困惑しておろおろとしていた。

「や、やっぱり三次元の女の子は僕には危険過ぎる。やはり女の子は二次元に限るよ。さあ、早く帰ってゲームの続きを……」

 しかし、僕のその一言で、平乃の雰囲気は一転した。

「なっ……、私は勇気を振り絞って告白したっていうのに、あなはそんな下らない理由で断ったっていうの……」
「あ、あれ? 平乃さん?」

 僕としては、穏便に事を済ませようとあんな告白の断り方をして、僕の嘘偽りのない本心を語ったのだ。
 だというのに、そんな僕の想いに反して平乃の怒りのボルテージは上がっていき、顔を真っ赤な色に染め上げていく。
 そして、地獄の底から響き渡ってくるような低い声で言う。

「ふん縛ってでも、ちゃんとした返事を聞かせてもらうわ」

 言い終わったあとに、平乃はどこからともなく手錠とスタンガンを取り出した。

「ちょ、ちょっと待って! それは余りに洒落にならんっ!」

 とてもじゃないがまともに話を聞いてくれそうにない平乃を残し、僕は全速力で駆け出した。



「待てぇぇぇぇえええええええ!!」
「うわっ、追ってきた!」

 憤怒の形相で追ってくる平乃を前に、僕は校舎内へと逃げ込んだ。
 しかし、依然として平乃は廊下を全速力で駆けてくる。

「くそっ、美しい薔薇には棘があるだなんて、よく言ったもんだ」
「あら、私は蝶じゃなかったの?」
「今のお前は蛾だよ、蛾っ!」

 逃げている最中に、そんな言い争いで集中を乱したのがいけなかった。

「あっ?!」

 高速で動かしていた足同士がからまり、思いっ切り前方にぶっ倒れてしまった。

「ぶっ。痛って、あ、しまっ――」

 ガチャリ
 次の瞬間には、僕の右手首には手錠が掛けられていた。
 もう一方は平乃の左手首に掛けてある。

(こ、これじゃあ逃げられない……)

「ふふっ、これでもう私から離れられない」

 あれだけ走ったというのに、平乃は息一つ乱れていない。
 そして、笑顔の裏に黒くおぞましい何かを隠しながら、僕に問いかけてくる。

「さあ、返事を聞かせてもらうわ。大丈夫、真面目に答えてくれれば何も危害は加えないから……」
「じゃあことわ――」
「ただし、もし断るというのなら……」

 平乃はバチバチと火花をあげるスタンガンを、僕の顔に突き付けようとする。

「実質拒否権なんてないじゃないか!」
「大丈夫、毒を喰らわば皿までと言うし、アレルギーだって大量に摂取すればそのうち免疫がついて抗体ができるわ」
「拒絶反応でその前に死んじゃうからっ! そ、それにほら、鳥肌が、君が傍にいることで既にアレルギーが出てきてるっ!」
「それで、返事は?」
「うっ……」

 平乃には有無を言わせぬ迫力があるし、徐々に、徐々にスタンガンと僕との距離が身近くなっていく。
 これじゃあ、断ってもスタンガンで気絶させられて、監禁でもされかねないかもしれない。
 とはいえ、この場で選択できる答えは、最早一つしか残っていないであろう。

「はい……お付き合いしましょう……」
「よろしい」

 満面の笑みで平乃は頷き、未だに立ち上がっていない僕を手錠ごと引っ張っていく。

「ひ、平乃さん? 一体これから僕をどこに連れていくつもりなんでしょうか?」
「聞きたい? ふふっ、大丈夫よ。私の事しか考えられなくしてあげるだけだから」
「………………」

 事ここに至って、抵抗する気も起きない。

(最初の告白を素直に受けていれば、こうはならなかったのかな……。やっぱり、選択肢が出てもセーブ出来ないリアルは僕には厳しいよ……)

 果たして、これから僕はどうなってしまうのか。
 僕自身には、地獄の日々が始まるようにしか思えなかった。

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